せっけん・洗剤に関する用語集
ア 行 | |
アミノ酸系界面活性剤 | 両イオン界面活性剤の一種で、洗浄、柔軟、殺菌作用がある。アミノ酸系はアンモニアを原料に作られるため、大量消費すると河川の富栄養化を招く可能性がある。 |
アミノ酸せっけん | ナトリウムやカリウムの代わりに塩基性のアミノ酸であるアルギニンを使ってけん化させたせっけん。 |
アレルギー | 特定の成分が抗原となって体内に抗体が作られる(感作)と、再度その成分が侵入したときに起こす反応。 |
アルコール | 炭化水素に水酸基(-OH)が付いたもの。殺菌・消毒作用がある。炭素数12個以上は高級アルコールといわれる。 |
アロマテラピー | エッセンシャルオイルを用いて心と体の健康を維持・改善しようとする自然療法。ホリスティックアロマテラピーとメディカルアロマテラピーのふたつの流れがある。 |
陰イオン界面活性剤 | 水に溶かしたとき親水基がマイナスに電離する界面活性剤。洗浄力に優れ、多くの洗剤、シャンプー、ハミガキなどに使われている。せっけん、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウムなどがある。 |
エタノール | 一価アルコールの一種で、アルコールの中では最も安全性が高い。水にもエッセンシャルオイルにもよく混ざる。殺菌・消毒作用がある。 |
エッセンシャルオイル | 精油とも呼ばれる。植物の花、葉、果皮、樹皮、根、種子、樹脂などから抽出した天然の素材で、有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質。特有の香りと機能を持つ。 |
塩析 | 純せっけんとグリセリン、未反応の苛性ソーダ、不純物を分離するための操作。せっけんタネは、脂肪酸とグリセリンの混合物。ここに飽和食塩水を入れると純せっけんが凝固して沈殿する。 |
オレイン酸 | 炭素数18、二重結合1箇所の不飽和脂肪酸。皮膚や毛髪に対し柔軟作用があり、保湿力と洗浄力に優れるせっけんを作る。オリーブ油などに多く含まれる。 |
カ 行 | |
界面活性剤 | 疎水性(親油性)部分と親水性部分をもち、混じり合わない油と水の界面を混じりやすいよう仲立ちする物質。洗浄、乳化、分散、起泡、消泡、湿潤、浸透、平滑、柔軟、帯電防止などのさまざまな働きがあり、食品から建築、工業に至るまで生活のあらゆる場面に利用されている。界面活性剤の種類は、せっけん(脂肪酸塩)と合成界面活性剤の2種類に大別される。 |
角質細胞間脂質 | セラミド、コレステロール、脂肪酸などから成り、角質細胞間の隙間を埋める物質。細胞の水分を逃げないようにし、外から異物を体内に入れない役割を果たす。 |
過剰油脂 | 完全にけん化される量を超えた油脂のこと。せっけん内にモノグリセリドのかたちで残り、洗浄力を落とすことなくアルカリを下げるといったメリットがあるが、多くしすぎるとせっけんの劣化を早める。 |
苛性ソーダ | 水酸化ナトリウムともいう。食塩から作られるアルカリ性の物質。 |
環境ホルモン | 内分泌撹乱物質ともいう。環境にあって、生体内に取り込まれるとホルモン様の作用を示し、生体内の正常なホルモン作用に異常を生じる化学物質のこと。ダイオキシン類やノニルフェノール、PCBなどがある。 |
魚毒性 | 界面活性剤が魚やその卵に与える毒性のこと。細胞の破壊、エラの肥厚、繁殖力や孵化率の低下、奇形となって現れる。合成界面活性剤の代表的な性質。せっけんも、蒸留水中では魚毒性が高いが、通常の水道水や河川の水では大きな問題にはならない。 |
グリセリン | 三価アルコールの一種で、脂肪酸3個と結合すると油脂になる。甘みと粘性があり、水を引き寄せる性質のため保湿剤として使われる。 |
クレイ | 粘土のことで、美容、医療、工業など幅広く利用されている。ミネラルが豊富で、皮膚に対し吸収・吸着作用を示す。採掘地によって、違った色や性質のクレイが採れる。 |
蛍光増白剤 | 洗濯用洗剤の多くに含まれている染料で、青い色の光を反射して洗ったものを白く見せる。非常に難分解で、健康や環境への危惧も叫ばれている。ガーゼ、脱脂綿、ナプキンなどへの使用は禁止されている。 |
けん化 | 油脂とアルカリが化学反応してせっけんをつくること。 |
けん化価 | 油脂1gを完全にけん化するのに必要なアルカリの量(mg)。一般的な植物油は、けん化価190くらいのものが多い。 |
けん化法 | 油脂にアルカリを加えてせっけんを作る方法。グリセリンを副生する。 |
けん化率 | けん化価から、油脂量に対する必要なアルカリの分量を%で表したもの。一般的な植物油は、けん化率0.13前後のものが多い。 |
合成界面活性剤 | せっけん(脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム)以外の、人工的に作り出された界面活性剤。 |
合成ポリマー | 毛をコーティングする合成高分子で、シリコン樹脂のジメチコンがよく使われる。毛だけでなく、皮脂膜や皮脂腺をもコーティングしてしまうので、皮膚呼吸を妨げ、皮膚再生能力を低下させる。 |
コールドプロセス | 加熱せずに、けん化の際にせっけんが自然に発する熱のみを使ってせっけんを作る方法。ただし、製作時40〜50℃程度の範囲で温度管理は必要。 |
サ 行 | |
催奇形性 | 胎児に奇形をおこす性質。催奇形性を起こす因子にはいろいろあるが、合成界面活性剤や助剤などの化学物質も因子となりえる。 |
細胞間脂質 | セラミド、コレステロール、脂肪酸などから成り、角質細胞の隙間を埋めて水分を逃さないようにしている。 |
刺激(皮膚刺激・粘膜刺激) | 皮表や粘膜表面から浸透した成分が、皮膚細胞や毛細血管に直接作用して、皮膚炎(かぶれ)を起こすこと。アレルギーとは異なる。 |
脂肪酸 | 動植物を構成する物質のひとつ。炭化水素の鎖の先端にカルボキシル基(-COOH)が結合する構造で、弱酸性。飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に大別される。炭素数12個以上を高級脂肪酸という。 |
弱酸性せっけん | 脂肪酸を硫化したのちアルカリと反応させてできた中性の合成界面活性剤に、クエン酸などのペーハー調整剤を添加して弱酸性にした洗浄成分を主とする洗浄剤。せっけんではなく合成洗剤のひとつ。 |
助剤 | ビルダーとも呼ばれる。界面活性剤のほかに加えて製品として安定させる成分。酸化防止剤、アルカリ剤、金属イオン封鎖剤、殺菌剤など。 |
浸透作用 | 界面活性剤の作用のひとつで、染み込みやすくする性質。浸透作用の強力な界面活性剤では、皮膚や毛の表面の皮脂膜に強く浸透し、バリアー機能を失わせることがある。 |
真皮 | 表皮の下にある皮膚組織で、神経、毛細血管などが存在する層。 |
スーパーファット | トレイス後に油脂を少量加える方法。マイルドな使用感のせっけんを作り、特別な機能をプラスさせることができる。過剰油脂としてのメリットもある。 |
スクワラン | C30H62の分枝状炭化水素。酸化しやすいスクワレンに水素を添加(還元)して安定したスクワランにする。皮膚や毛への親和性が高く、刺激やアレルギーを生じないため、多くの化粧品原料に使用されている。。 |
スクワレン | C30H50の炭化水素。人間の皮膚にも存在する物質で、コレステロールの前駆物質。動物性では深海ザメ、植物性ではオリーブから採取し、還元処理してスクワランとなる。 |
ステアリン酸 | 炭素数18の飽和脂肪酸。泡立ちはあまりよくないが、固く泡もちのよいせっけんを作る。ココアバター、シアバターに多く含まれる。 |
ステロール | ステロイド系アルコールの一種で、動植物油脂に含まれる。コレステロールレベルを下げ、皮膚を軟らかくし、皮膚刺激を和らげる。 |
せっけん | 油脂(脂肪酸)をナトリウムあるいはカリウムでけん化したもの。脂肪酸塩。 |
タ 行 | |
タール系色素 | 赤色2号〜506号、黄色4号から407号などと表示されている着色料で、発がん性を指摘されている。 |
たんぱく変性作用 | たんぱく質と強く結合して溶かす界面活性剤の代表的な作用。特に硫化させて合成される合成界面活性剤(S系界面活性剤)の結合力が強い。(〜硫酸ナトリウム、〜硫酸TEAなど) たんぱく質から成る細胞を破壊し、皮膚障害となって現れる。 |
中性洗剤 | 脂肪酸や脂肪族アルコールを硫化したのちアルカリと反応させてできた中性の合成界面活性剤を洗浄成分とする洗剤。 |
中和法 | 油脂から分離・精製した脂肪酸にアルカリを加えてせっけんを作る方法。グリセリンを副生しない。 |
ディスカウント | 100%けん化に必要なアルカリ量を減らすことをディスカウントするという。ペーハー値を抑え、せっけん内に過剰油脂を残すための方法。 |
天然保湿因子 | NMF(Natural Moisturizing Factor)とも呼ばれ、角質細胞中に含まれる多量の水分を抱き込んでおくことのできる物質。コラーゲンはそのひとつ。 |
トコフェロール | ビタミンEのこと。油溶性ビタミンで酸化防止の働きがあり、油脂製品などに添加されることが多い。 |
トリグリセリド | 3つの脂肪酸がひとつのグリセリンに結合(エステル結合)したもの、油脂を構成する成分。体内では中性脂肪。 |
トレイス | 油脂とアルカリを混ぜ、撹拌してしばらくするととろっとしてくる状態をトレイスが出るという。けん化が始まった初期段階。 |
ハ 行 | |
ハーブ | 薬効のある草のこと。 |
バッチ | せっけんをつくるひとつの単位。油脂の総量をバッチサイズと呼ぶ。 |
パルミチン酸 | 炭素数16の飽和脂肪酸。気泡力はあまりないが、泡もちのよい固いせっけんを作る。温水での洗浄力に優れる。酸化安定性は比較的よい。パーム油、ココアバター、みつろうなどに多く含まれる。 |
パルミトレイン酸 | 炭素数16、二重結合1箇所の単価不飽和脂肪酸。人の皮脂中にも10%以上含まれ、皮膚組織再生に重要な役割を果たす。洗浄力や泡もちに優れる。マカダミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油に多く含まれる。 |
非イオン界面活性剤 | 親水基がイオン化しない界面活性剤のこと。浸透性や起泡性、乳化作用に優れる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルや脂肪酸アルカノールアミドなどがある。ポリオキシエチレン系は、製造や分解の過程で発がん性物質ジオキサンが副生される。 |
皮下組織 | 真皮の下にある結合組織で、真皮と筋肉とを結合する。皮下脂肪が存在する。 |
ビタミン | 体の機能を調節する有機栄養素。 |
必須脂肪酸 | 体内では合成できない多価不飽和脂肪酸のことで、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸など。ビタミンFとも呼ばれる。 |
表示指定成分 | 厚生省が薬事法で商品への表示を義務づけた、アレルギーなどの皮膚障害を起こす可能性のある成分で、103種類ある。2001年4月の薬事法改正で、化粧品は全成分表示が義務付けられた。 |
表皮 | 皮膚のいちばん外側にある層で、内側から順に基底層、有棘層、顆粒層、角質層から成る。犬の表皮の厚さは人間の約5分の1。 |
表皮ターンオーバー | 表皮が生まれてから角質となって剥がれ落ちるまでのサイクルのこと。通常人間は28日、犬は21日。 |
ファイトケミカル | フィトケミカルとも呼ばれ、植物の色素のこと。抗酸化作用や細胞修復作用を持つ。 |
富栄養化 | 窒素やリンが河川や湖沼に流出することにより、植物性プランクトンの栄養素が増加し、生態系に異常が生じることをいう。湖沼のアオコや内海の赤潮などが大量発生し、水生生物を酸欠状態にして被害を与える。 |
不けん化物 | 油脂の中に溶け込んでいるが、けん化されずにせっけん内に残る微量成分。ビタミン、ミネラル、レシチン、ステロール、ファイトケミカルなど。 |
不飽和脂肪酸 | 炭素原子間に水素原子と結合している部分(二重結合)を持つ脂肪酸で、植物油に多く含まれる。二重結合箇所が多いほど酸化しやすく、融点が低い。体内では血管への脂肪沈着を防ぎ、サラサラ血にする。 |
ペーハー | 水溶液中の水素イオン濃度。酸性からアルカリ性まで14段階で表される。 |
変異原性 | 化学物質などがDNAや染色体に作用し、遺伝子の突然変異や染色体異常を誘発させる性質。遺伝毒性とも呼ばれる。 |
飽和脂肪酸 | すべての炭素原子が水素原子と結合している脂肪酸で、動物脂に多く含まれる。酸化しにくく、融点が高い。体内では中性脂肪として蓄えられやすい。飽和脂肪酸をせっけんに添加すると、乳化を促進してトレイスまでの時間を短縮し、せっけんを固くし、ソーダ灰等の析出を防止する。 |
ホットプロセス | 加熱によりけん化を促進させながらせっけんを作る方法。 |
ホメオスターシス | 恒常性とも呼ばれる。環境が変化しても、生体は安定した状態を保っていられる性質のこと。 |
ホリスティック | 「全体」「関連」などを総称する言葉で、心と体は切り離せないものであり、病気や痛みを全体からアプローチすることで本来の自然治癒力を引き出そうとする考え。 |
マ 行 | |
水 | 無色透明の液体。最もよく使われる溶媒で、温度、比重などの単位の標準とされる。 |
ミネラル | 体の機能を調節する無機栄養素。 |
ミリスチン酸 | 炭素数14の飽和脂肪酸。気泡性、泡もち、洗浄力に優れ、きめ細かい泡をつくる。ココナッツ油、パーム核油、ラードなどに含まれる。 |
ヤ 行 | |
油脂 | 高級脂肪酸とグリセリンのエステル。常温で固体の脂肪と、液体の脂肪油に分けられる。 |
陽イオン界面活性剤 | 水に溶かしたとき親水基がプラスに電離する界面活性剤。洗浄力はあまりないが、柔軟、帯電防止に優れ、多くのリンス、静電気防止剤、柔軟仕上げ剤に使われている。ベヘントリモニウムクロリド、塩化ベンザルコニウム(逆性せっけん)などがある。殺菌性があり、たんぱく変成作用が強く分解性が悪い。 |
ヨウ素価 | 油脂の二重結合の度合いを示す数値で、酸化のしやすさを表している。油脂100gに吸収されるハロゲン量を、ヨウ素のg数で表したもので、数値が高いほど酸化しやすい。 |
ラ 行 | |
ラウリン酸 | 炭素数12の飽和脂肪酸。硬く気泡力があり、水に溶けやすく、冷温水、海水や硬水でもよく泡立つせっけんを作るが、泡もちはよくない。酸化安定性に優れる。皮膚に対してはやや刺激性を持つ。ココナッツ油、パーム核油に多く含まれる。多くのせっけん、合成界面活性剤の原料として使われている。 |
リシノール酸 | 炭素数18、二重結合1箇所、水酸基−OHを有する代表的なヒドロキシ脂肪酸で、ひまし油に90%程度含まれる。他の脂肪酸と異なり、粘性が非常に高くエタノールに溶ける。水分を引きつける性質。 |
リノール酸 | 炭素数18、二重結合が2箇所の不飽和脂肪酸。必須脂肪酸のひとつ。皮膚や毛髪に対して柔軟作用があり、洗浄力に優れるが、軟らかく溶け崩れやすいせっけんになる。酸化しやすい。月見草油、グレープシード油などに多く含まれる。 |
リノレン酸 | 炭素数18、二重結合が3箇所の不飽和脂肪酸。必須脂肪酸のひとつ。リノレン酸には代謝活性があり、亜麻仁油、ローズヒップ油に含まれるα-リノレン酸は炎症を抑制して細胞を修復する働きがある。月見草油、ボリジ油に含まれるγ-リノレン酸は体内でプロスタグランジンに変化してアレルギーを抑制し、ストレスホルモン、性ホルモンなどをコントロールする。非常に酸化しやすいので、これを多く含むものを外用に使う場合、せっけんよりもフレッシュなままマッサージなどに活かしたほうが効果的。 |
リバッチ | せっけんを作り直すこと。失敗したせっけんを使えるように作り変える目的もある。 |
両イオン界面活性剤 | 親水基に陰イオン、陽イオンの両方を持っており、マイナスにもプラスにも電離する界面活性剤。溶液が酸性のとき陽イオン、中性のとき非イオン、アルカリ性のとき陰イオンの界面活性剤として働く。リンスインシャンプーなどに使われ、比較的穏やかといわれるが、洗浄剤としてはヨゴレ落ちに劣っている。殺菌作用がある。アルキルベタイン、アミドアミノ酸ナトリウムなどがあり、水環境への富栄養化の可能性がある。 |
リン脂質 | 生物の細胞膜の主要な構成成分で、ひとつのグリセリンにふたつの脂肪酸、ひとつのリン酸が結合したかたちをとる。リリン酸は水の分子に結合し、脂肪酸は脂肪の分子に結合する性質から、乳化作用を示す。 |
レイヤー | 層のこと。色などの違うせっけんタネを作り、一層ずつ時間をずらしながら型入れをすると、レイヤーせっけんができる。 |
レシチン | リン脂質の一種で、リン酸にコリンが結合したもの。乳化作用があるため、体内では脂肪の消化を助けてコレステロールレベルを下げ、皮膚においては保湿と保護を助ける。せっけん内では脱脂力と刺激を抑制する。 |
ロウ | 高級アルコールと高級脂肪酸のエステル。被覆、保護作用がある。せっけんを固くし、トレイスまでの時間を短縮する。 |